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資本金の額の減少に関する一考察

2009年09月14日
いつも会社法について鋭い視点で意見を述べていらっしゃるまさるのビジネス雑記帳さん
アカデミックな知識と実務的な知識を持ち合わせていらっしゃるので、「何者だろう?」と以前から気になっておりまして、勝手に当ブログからのリンクも貼らせてもらっています。

さて、そのまさるさん、

準備金の額の減少決議に伴う債権者保護手続は遵守されているのか?


という点について、疑問を提起されていて、最終的には、

債権者にとって重要な事は、純資産ではありませんね。現・預金とキャッシュフローですね。まあ債権者保護制度などあまり機能していないといいますか、あんまり役に立つ制度ではないですね。


と結論付けられています。
まさるさんは、資本金の額の減少と、準備金の額の減少の取扱いの違いを指摘していらっしゃるわけですが、そもそも資本金の額の減少自体、債権者保護手続の有効性に疑問を感じてしまう私です。

確かに、資本金の額の減少をするにあたっては、「公告をしたことを証する書面」や、知れたる債権者に「個別催告をしたことを証する書面」を、登記時に要求されます。
たいていの場合(特に非公開会社)、債権者保護手続の一つとして官報公告をします。
これはまあ、きちんとやるでしょう。やらないと登記ができませんし。

問題となるのは、知れたる債権者への個別催告です。
ある程度の規模の会社であれば、債権者といっても、銀行・仕入先やはたまた新聞屋さんなどと、確かに「知れたる債権者」ではあっても、資本金の額の減少に何の影響もないような相手も多数いるわけです。
また、仕入先が海外であったりした場合、ある程度の大口債権者であっても、欧米では資本金の額の減少に個別催告を要しない国が多いだけに、「え?何?」とむしろびっくりされる可能性も高いわけです。

そうすると自然、ある一定額以上の国内債権者にのみ個別催告を行うことになります。
さらに言えば、異議を申し立てられても、弁済してしまえば問題はないので、すぐに返せる程度の債権者に個別催告を行う必然性も乏しいわけです。

結果、個別催告の相手方は、銀行と超大口債権者数社に絞られてしまう、というのが現実だと思います。そしてそのような相手には普通、事前ネゴを行うので、異議を申し立てられるようなことはまずないでしょう。

登記にあたっても、債権者リストに個別催告書の雛形を合綴して、登記申請書に添付することになるのですが、債権者リストに載っているのはほんの数社だったりして、明らかに不自然なのですが、特に何の指摘もされることはありません。登記官には実体審査権がありませんから当然です。

そしてもう一つの債権者保護手続である「官報公告」(その他の方法も選択できますが)。
まさるさんも指摘されているように、官報を日々チェックしている人なんてそんなにいませんよね。
公示催告に次いで、「日本で2番目に空しい手続き」に認定してあげたいと思います。


資本の額の減少は純資産の部の計数の変更に過ぎない、といわれるように、資本金の意義というのは、そう大きくないので、まあ、この程度でも問題ないのかも知れませんね。


ただ、資本金の額の減少にあたっては、2点注意点を挙げておきたいと思います。

一つ目は、通常の業務に係る契約書等の解除条項に「資本金の減少」などという一文が入っていることもよくあるので、念のためにケアしておく必要があります。
二つ目は、株主の中には資本金の額の減少(ましてや準備金の減少)の意味合いをよく理解できない人がいるので、株主総会などでは、貸借対照表に関する基本的な説明をする準備をしておく必要があることです。


そんなわけで、資本金の額の意義というのは実はそう大きくなく、5億円を超えると大会社として規制が増えるというのも、必ずしも納得感のある措置ではないように思います。
むしろ200億円以上の債務を抱えている会社を大会社とすることの方が、妥当な措置のように思えます。







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