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MBOに関する書籍はないことはないが、真に役立つものは見当たらない、という問題。

2009年10月20日
先日のエントリーで、下記書籍をご紹介しました。

これがMBOだ!これがMBOだ!
(2007/11/20)
CVC島田 晴雄

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その際に、


ただ共著者がCVCというPE会社なので、内容がMBOの良い側面に偏っていることが予想されます。



と、懸念していたのですが、うーんやはり懸念は的中していました。


本書の構成は、第一部で3つのモデルケースがストーリー仕立てで紹介され、簡単な解説が付されています。そして第二部でMBOのメリット・プロセス・必要性といったものが述べられています。

第一部の3つのモデルケースは、
①MBOによって親会社から独立するケース
②MBOによってオーナー企業の事業承継問題を解決するケース
③MBOによって株式を非公開化するケース
という、まあ、MBOといえばそんなところだよね的なケースが並べられています。

そして第二部では、これでもかというほど、MBOのメリット(だけ)がひたすら述べられていて、むしろ不安になるほどの記述ぶりです。

日本最大規模のMBOとして話題になった、すかいらーくのMBOも、この本の共著者であるCVCと野村プリンシパル・ファイナンスが出資しているのですが、本書においてもこの話題に触れられています。


この状況のなかで、すかいらーくはそれまでの経営計画を軌道修正し、どうすれば再び成長軌道に復帰することができるか、全社的に取り組むことになった。
同社の経営陣と従業員は、短期的なリターンを求める市場の株主から、戦略的に企業価値の創造をめざす株主へ転換し、そうすることによって新たな成長戦略を実行できる体制づくりが必要と判断し、MBOによる株式の非公開化を選択したわけである。



すかいらーくがMBOを実施したのが2006年6月、本書が出版されたのが2007年11月。そして創業家の横川社長がCVCや野村プリンシパル・ファイナンスといったPEファンド側に解任されたのが、2008年8月のことです。
つまり、MBOから約2年で、経営陣はクビを切られたということになります。

本書ではしつこいほどに、PEファンドがいかに長期的な視点にたって、現経営陣や従業員の経営体制を守りつつ、的確なアドバイスを行っていくのか、そのためにPEファンドがいかに優秀なパートナーになるのか、ということが述べられています。
しかし、詳細な事情を知らないので一概に批判はできませんが、上記すかいらーくの件に関しては、決して「長期的な視点」で経営を支えたとは言い難いのではないかと思います。


そんなわけで、確かにMBOに関する書籍が少ない中、本書は貴重な一冊ではありますが、あまりにPEファンドやMBOの魅力にばかり記載が偏っている点は、大幅に割り引いて読む必要があるかと思います。

「MBOはどのような時に利用され、どのようなものなのか概要を知りたい」
というような方には、読みやすくていいのではないでしょうか。
しかし実務に利用できるほどの技術的に詳細な記述はほとんどありませんので、その点ご注意下さい。


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