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「V字回復の経営」三枝匡

2010年01月30日
V字回復の経営V字回復の経営
(2001/09/17)
三枝 匡

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ずっと積読になっていた一冊。
ようやく読みました。

著者の三枝匡さんは、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、現在は株式会社ミスミグループ本社の代表取締役会長CEOを努めていらっしゃいます。
三枝会長を直接知る人間が、私の周りに3人いるのですが、「鬼のようにコワイ」という意見で一致しています(笑)
仕事に関しては相当厳しい方なのでしょう。

さて、この一冊は、太陽産業という架空の会社における「アスター事業部」なる赤字組織を、黒岩莞太という子会社社長を中心とした改革タスクフォースが再建させる「フィクション」です。
しかし著者が何度も主張しているように、著者自身が実際に携わった5つの企業再建における経験を小説化したものではあるものの、「作り話だと言われると悔しい気持ちになる」というほど、実際の経験に近いストーリーになっているようです。


本書の感想を一言で言えば、「とても面白かった」の一言につきます。
もちろん、「面白かった」だけで終っても仕方がないのですが、本書には次のような一節があります。


経営経験が豊かになるということは、「どこかで見たことのある景色」が多くなるということである。



読書というものは、他人の知識や経験をなぞるものでもあるので、本書を通して、「どこかで見たことのある景色」が自分の中に増えたことだけを考えても、本書を読んだ価値は十分にあったのではないかと思います。
つまりこれから先、私自身が企業や組織の改革(というほど大きなものでないにしても)を行うときに、本書のどこかのシーンが「どこかで見たことのある景色」として浮かべば、冷静に対応策を考えられるのではないかと思います。

現在私は勤務先で、業務改善プロジェクトのオブザーバーとして、あれやこれやと口を出しているのですが、本書から得た「経験」は、このレベルのプロジェクトにも十分転用可能だと感じています。


著者の三枝匡さんがボストン・コンサルティング・グループ出身であることから、アメリカ的な経営手法や価値観、或いは事業戦略立案のための技術がふんだんに盛り込まれている。
そう考えて読むと、ちょっと違和感があるかも知れません。
もちろん経営手法や分析技術など、いかにも外資系経営コンサルタント的な話も出てきますが、決定的に重要なのはやはり、ナマの人間を動かすための「組織論」的な考え方のようです。

このあたりの著者の考え方のモトとなっているのは、「三枝匡の経営ノート 3」と題された、章間のコラムにあるような、著者の「1960年代から2000年までの経営学の変遷」ともいうべき「経営」に対する分析なのでしょう。
このコラムを読むためだけでも本書を買う価値があるのではないかというほど、非常に興味深い内容です。

前述のように、三枝匡さんは「鬼のようにコワイ」方だそうですが、それは衰退企業を「Turnaround」させるプロフェッショナルとして、必要な厳しさなのだと思います。
でも三枝匡さんと大前研一さんの3人で仕事をする環境に放り込まれたら、多分僕は逃げ出すでしょうけど・・・

最後に、本書で黒岩莞太が語っている言葉を引用します。
おそらくは、著者の考えと一致するものだと思います。


最近の米国的感覚の投資家や証券アナリストたちは、こんな事業に経営陣が時間とエネルギーを使うこと自体が間違いで、さっさとつぶせという態度です。
しかし私はそんな安直な論理に簡単に乗る気にはなれませんでした。
株主を重要なステークホルダーだとおっしゃるのも結構でしょう。しかし株主の多くは、電話やインターネット取引で秒単位にコロコロ入れ替わっていく人々です。何のコミットもしない人々です。
しかし、日本企業の社員は20年、30年と長い人生を会社で過ごし、朝から晩まで働いてきました。会社の価値を増やす行動をとってきたのは彼らです。
ですから、私にとっては社員のほうがよほど重要なステークホルダーです。




この言葉は、本書が2001年9月という時期に出版されたことを踏まえて読むとき、より一層重みを持って感じられることでしょう。


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