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弁護士法72条と企業法務

2010年03月23日
知れば怖くない!弁護士法72条の正体知れば怖くない!弁護士法72条の正体
(2008/04)
吉岡 翔

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ずいぶん前から積読状態になっていたのですが、ようやく読むことができました。

このBlogをご覧になっている方はもちろんご存知かと思いますが、弁護士以外が法律事務等を行うことを禁止している「弁護士法72条」に関する本です。

念のため弁護士法72条の条文を転記しておきます。


(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第72条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。



弁護士以外が法律事務等を行うことを一般的に「非弁行為」などと呼んでいますが、72条を読んだだけでは、何が禁止されていて、何が禁止されていないのか、今ひとつわからないところではあります。

本書の著者は行政書士であり、ご自身の身内の交通事故処理をめぐり、行政書士資格を取得されたそうです。
そして主に交通事故による紛争の処理を生業とされていらっしゃるようです。
つまり、まさに弁護士法72条違反と合法の境界がどこにあるのかを、日々意識しながら業務を行っていらっしゃる方といえるでしょう。


私たち企業法務担当者としても、弁護士法72条というのは決して遠い世界の話ではありません。
例えば親子会社間で、親会社の法務担当者が子会社に対して法的助言をすることに問題があるのではないか、という話題はよく採り上げられます。
或いは、例えば証券代行業の法務コンサルティング業務なども、72条違反にはかなり気を遣うところだと思います。

本書によれば、現実に弁護士法違反で検挙された人の数などは微々たるもので、よほど悪質な示談屋などでなければ、滅多なことでは72条が適用されることはなさそうです。
上に掲げた、子会社への法的助言や証券代行業による法務コンサルティングなども、常識の範囲内であれば、裁判所のお世話になるようなことはおそらくないでしょう。

しかし今日のコンプライアンス重視の風潮からすると、「法律事務」と呼べそうなものについて有償でサービスを提供することには、どうしても消極的にならざるを得ないでしょう。

だからといって、私は別に、「弁護士法72条を撤廃しろ」などということを言いたいわけではありません。
むしろ、本書の著者の意見とは異なりますが、示談などの法律的な事件の処理は、弁護士が行うべきだと思います。

ただやはり、予測可能性という側面から考えると、「何をやると72条違反になるのか」ということをもう少しわかりやすく示す必要はあるのではないかと思います。

また、「法律事務等は原則として全て禁止、他の法律(例えば行政書士法やサービサー法など)で認められているものは除外する」という建付けは、新たなビジネスを行う者にとって、過度に萎縮効果をもたらすのではないかと考えています。

隣接士業、特に行政書士については多少の裁判例の蓄積もあるようですが、一般企業についての裁判例は寡聞にしてあまり知りません。
国は、一般企業が法務サービスとして提供可能なものと、そうでないものについて、ガイドラインやQ&Aなどの形式で示す必要があるのではないかと思います。


最後に、本書を読む際の注意点を2点ほど挙げておきたいと思います。
①学説の解釈について、ところどころ著者の主張が混在している。
②著者が行政書士であることから、行政書士が行う法律事務の合法性に記述が偏っている。

以上を差し引いて読めば、弁護士法72条が実務上どのように扱われているか、ある程度理解できるのではないかと思います。
特に、裁判例、他の書籍や新聞記事などの情報がかなり多く集められているので、資料としての価値は案外高いと思います。



-------
2010.3.24追記
dtkさんのところに関連したエントリーがあることを教えていただきました。
下記リンクが、親子会社の法務サービス提供に関する法務省の見解のようですので、リンクを貼っておきます。
(ココ)



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Comment
親子会社間での話については
こんばんは。標記の件はこちらでのblogでもネタにしたことがありました。
http://dtk2.blog24.fc2.com/blog-entry-412.html
中で言及した
http://dtk2.blog24.fc2.com/blog-entry-412.html
は参考になると思います。

それでは。
No title
すいません。2つ目のURLがうまくコピペできてませんでした。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sihou/kentoukai/seido/dai24/24siryou_homu.pdf

です。すいません。
dtkさんおはようございます。
dtkさん、貴重な情報ありがとうございます。

さっそくエントリー内にリンクを貼らせて頂きました。

ではでは。
No title
私は72条は撤廃すべきだと思いますね。法廷の代理権を弁護士に限れば、問題はないはずです。弁護士の利権を守る必要はないですよ。ただ、法廷代理権は弁護士に限定しないと、裁判所という公的機関に迷惑がかかります。

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