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やはり出ました“法務力” ―「ビジネスマンのための法務力」 芦原一郎

2009年01月16日
ビジネスマンのための法務力 (朝日新書)ビジネスマンのための法務力 (朝日新書)
(2009/01/13)
芦原 一郎

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経理や財務の担当者ではない、一般のビジネスパーソン向けの会計本がブームとなっている昨今、同じようなコンセプトで法律に関する本がポツポツと出始めているようです。そしてやはり出ました“法務力”。ターゲットは弁護士でも法務担当者でもない、法律というものにあまり縁の深くないビジネスマンのようです。
著者は弁護士で、「アフラック統括法律顧問代行」という肩書きの持ち主です。

「はじめに」を引用します。

本書は、そんな普通のビジネスマンに、「法務力」を身につけてもらうことをねらいとしています。これまで法務とは縁のなかった一般社員が「法務力」を身につけることで、会社の法務はぐんと円滑になるし、ビジネスの脇は締まるし、なによりも、その人自身も見違えるように「仕事ができる」ようになるからです。



おっしゃることはもっともだと思います。
“法務力”と名づけるかどうかは別として、私も以前から、ビジネスパーソンの基礎的な法律知識の重要性をお話ししてきました。(参考:ビジネス実務法務検定

本書では、“法務力”を「リスクセンサー能力」と「リスクコントロール能力」と定義し、その二つを磨くためのケーススタディを行う形式を採っています。
具体的には以下の6つの技を使って、ケースに対応することを推奨しています。
① 温故知新
② 文殊の知恵
③ 最悪シナリオ
④ 怒る人がいないかテスト
⑤ 記者会見テスト
⑥ 他山の石
順番に、過去の経験から学んでみる、他人の知恵を拝借する、最悪のシナリオを想定してみる、ステークホルダーで怒る人は誰かをイメージしてみる、記者会見に耐えられるだけのことをしているかを考えてみる、他社の事例から学ぶ、ということを言い換えているものです。

しかし、このようなケーススタディを通して、“法務力”というものが本当に身に付くのかどうか、非常に疑問です。
著者は、「法務力にとって、実は重要でないもの」として、法律知識を挙げています。そして以下のように述べています。

法律の知識はいくら増えてもキリがありません。実際のビジネスの現場には、法律が想定していない曖昧な領域が沢山あり、その曖昧な部分を処理する能力こそが必要なのであって、すでに答えが明確に出ている判例や法令解釈などはネットで検索したり、弁護士や法務担当者に確認したりすればいいのです。
むしろ重要なのは、考える能力です。
想像してください。優秀な弁護士は判断が速く、沢山の知識を持っているように見えます。けれども本当に優秀だなあと感じるのは、複雑で込み入った問題をすっきりわかりやすく整理し、方向性を示してくれたときではありませんか?餅は餅屋に任せて、優秀な弁護士を要所要所で適切に使いこなす方が、効率がいいに決まっています。弁護士に一目置いてもらうために専門知識を身に付けようとするのは、方向性として間違いです。



また、次のようにも述べています。

「法務力」は細かい法律知識を覚えることで得られる能力ではありません。本来の「法務力」は、原理原則を理解し、考え、経験を積み重ねることによって身につく、もっと骨太な、大局を見る能力なのです。



いかがでしょう。
著者は何度もこのような主張を繰り返しているのですが、乱暴ですよね(笑)
法律にあまり縁のないビジネスパーソンをターゲットにしているだけに、「知識が重要」と言いにくのでしょうが、知識なくしてどうやって「原理原則を理解」するのでしょうか。知識を蓄えることなく「考える能力」を身に付けることは、どだい無理な話だと思います。
確かに知識に偏重することはどうかと思いますが、物事を理解するには知識も重要であることは自明の理です。

セクハラ、パワハラを行った人間に対する、解雇や降格といった処分を「ツール」と呼び、「これらのツールをうまく使い」などと表現したり、法務担当者を「ビジネスマン」ではないものとして扱ったり(私は自分のことをビジネスマンだと思っています)と、同意しかねる部分が多く見受けられました。

「ビジネスマンはもっと法律を知るべき」というコンセプトには賛成なのですが、この本を読むよりもビジネス実務法務検定3級の勉強をする方が、勉強になると思います。





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